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世界のキャッシュレス事情まとめ!日本との違いを比較しました

「日本ではキャッシュレス化が遅れている」と指摘される一方で、中国や北欧諸国では社会全体がキャッシュレス化を受け入れ、便利で効率的な社会が実現されています。 では、具体的に、各国と日本でのキャッシュレス事情は、どのように異なるのでしょうか?
本記事では、日本と各国のキャッシュレス事情を比較し、導入のメリットや課題についてご紹介解説します。
世界のキャッシュレス事情
キャッシュレス化の普及率や手段は、国や地域によって大きく異なります。
以下では、主要国のキャッシュレス事情を紹介し、日本と世界の違いを紐解いていきます。
韓国のキャッシュレス事情
韓国は、キャッシュレス化が最も進んでいる国の一つで、2021年のキャッシュレス比率は98%を超えています。 国が主導するITインフラ整備やスマートフォンの普及率の高さが、その背景にあります。
特に、韓国ではクレジットカードやモバイル決済が広く利用されており、街中のほぼすべての店舗でキャッシュレス決済が可能です。 これにより、利便性が高まり、現金を持ち歩く必要性がほぼなくなっています。
中国のキャッシュレス事情
中国は、QRコード決済の普及が著しい国として知られています。 代表的なサービスには「WeChat Pay」や「Alipay」があり、都市部では現金が使えない店舗も少なくありません。
キャッシュレス化が急速に進んだ理由の一つは、政府が推進するデジタル政策です。 また、偽札問題が頻繁に発生していたことも、キャッシュレスへの移行を加速させました。
中国では、QRコード決済を通じて、屋台や個人経営の小規模店舗でもスムーズな取引が可能です。
シンガポールのキャッシュレス事情
シンガポールでは、国策としてキャッシュレス化が進められています。 「Smart Nation Initiative」による政策がその一環です。
特に、公共交通機関や飲食店でのキャッシュレス対応が進んでおり、電子決済アプリの利用が日常生活に浸透しています。 外国人旅行者にとっても、シンガポールでのキャッシュレス決済は非常に便利です。
米国のキャッシュレス事情
米国ではクレジットカードが長年の主流ですが、近年では「Apple Pay」や「Google Pay」などのモバイル決済が急速に普及しています。 さらに、スタートアップ企業によるフィンテック(金融技術)の進展が、キャッシュレスの選択肢を広げています。
ただし、一部の田舎や小規模店舗では依然として現金が使用されています。
イギリスのキャッシュレス事情
イギリスでは、非接触型決済(コンタクトレス決済)が特に普及しています。 公共交通機関では、クレジットカードやモバイル端末をかざすだけで支払いが完了するシステムが導入されています。
また、銀行やフィンテック企業が提供するスマート決済アプリが、キャッシュレス化を後押ししています。
スウェーデンのキャッシュレス事情
スウェーデンは、現金廃止を目指す国として注目されています。 多くの店舗で現金が受け付けられず、デビットカードやモバイル決済が一般的です。 また、「Swish」と呼ばれるモバイル送金アプリが広く利用されており、個人間送金もキャッシュレスで行われます。
この背景には、政府の強力な政策と高いデジタルリテラシーがあります。
カナダのキャッシュレス事情
カナダでは、クレジットカードやデビットカードの利用が非常に一般的で、キャッシュレス化が進んでいます。 また、カナダは新技術の導入にも積極的で、フィンテック企業による新たなキャッシュレスサービスが注目されています。
特に、モバイル決済アプリや電子ウォレットが若年層を中心に普及しています。
日本のキャッシュレス事情
日本では、キャッシュレス化が進んでいると言われる一方、他国と比較するとその普及率はまだ低い水準にとどまっています。 2022年の統計では、キャッシュレス決済の利用率が40%程度とされており、政府が目標とする2025年までに40%以上の普及を達成するには、さらなる取り組みが求められています。
日本のキャッシュレス普及の現状
日本で最も普及しているキャッシュレス決済手段は、クレジットカードやデビットカード、そして電子マネーです。 特に交通系ICカード(SuicaやPASMOなど)は日常生活での利用が一般的です。 また、近年ではQRコード決済(PayPay、楽天ペイ、LINE Payなど)も広がりを見せています。
しかし、現金への信頼が根強いことや、小規模店舗での導入コストが高いことが、キャッシュレス化の進展を阻む一因となっています。 また、日本の消費者の中には、キャッシュレス決済のセキュリティ面に対する懸念を抱く人も多く、現金を好む傾向が続いています。
キャッシュレス化が進まない理由
- 高い現金信頼度:現金が使えなくなる状況を懸念する声が根強い。
- 小規模店舗の対応遅れ:導入コストや運用負担を懸念する店舗が多い。
- 消費者教育の不足:キャッシュレス決済の利便性や安全性に関する情報提供が十分でない。
- 多様な選択肢による混乱:キャッシュレス決済の種類が多すぎて、消費者や事業者がどれを選べば良いのか迷う場面も多い。
日本でキャッシュレス化が進まない理由は、以下のような要因に集約されます。
日本政府のキャッシュレス推進の取り組み
政府は、キャッシュレス化を経済の効率化や観光産業の活性化につなげるために、さまざまな政策を推進しています。 たとえば、「キャッシュレス・ポイント還元事業」により、消費者や事業者にメリットを提供し、利用促進を図っています。 また、自治体による補助金制度を活用し、小規模店舗への導入支援も行われています。
キャッシュレス化のメリットとデメリット
キャッシュレス化は、社会やビジネスのあり方を大きく変える可能性を秘めています。その一方で、デメリットや課題も存在し、企業や公共団体が導入を検討する際には慎重な分析が求められます。本節では、キャッシュレス化のメリットとデメリットを具体的に解説します。
キャッシュレス化のメリット
会計・管理業務の効率化
キャッシュレス化により、会計業務が大幅に効率化されます。 現金の取り扱いが不要になることで、レジ締めや現金輸送の手間が削減されるだけでなく、売上データが自動的にデジタル化されるため、経理処理が簡略化されます。 特に、多店舗展開を行う事業者にとっては、リアルタイムで売上状況を把握できる点が大きなメリットです。
消費者の利便性向上
キャッシュレス決済は、消費者にとっても大きな利便性をもたらします。 現金を持ち歩く必要がなくなることで、手荷物を軽減できるほか、支払いがスムーズに完了するため、買い物のストレスを軽減できます。 また、ポイント還元やキャッシュバックといった特典が、消費者にとって魅力的な要素となっています。
現金盗難リスクの低減
現金を扱わないキャッシュレス決済は、盗難や紛失といったリスクを軽減します。 特に、現金を扱う業種では、従業員の安全確保やセキュリティ強化の観点からも、キャッシュレス化が重要です。 これにより、店舗運営の安心感が向上します。
キャッシュレス化のデメリット
導入コストの負担
キャッシュレス決済を導入する際には、初期投資として端末の導入費用やシステム開発費が発生します。 また、決済ごとに手数料がかかる場合もあり、特に小規模事業者にとっては経営負担となることがあります。
自治体や政府の補助金制度を活用することが、コスト負担軽減の鍵となるでしょう。
サービス間の互換性の問題
キャッシュレス決済の種類が多様化しているため、事業者がどのサービスを選ぶべきか判断が難しくなる場合があります。
また、消費者の利用環境によっては対応できない決済手段も存在し、全ての顧客にとって満足のいく対応が難しいという課題があります。
停電時等に利用できない
キャッシュレス決済は電力や通信インフラに依存しているため、停電やシステム障害が発生した場合、利用が制限される可能性があります。
こうした事態に備え、非常時の対応策を検討しておく必要があります。
まとめ
キャッシュレス化は、世界中で進展している一方で、各国の事情や導入の進み具合には大きな違いがあります。 特に、中国や北欧諸国では、キャッシュレス化が生活やビジネスの基盤として機能しているのに対し、日本では依然として現金文化が根強く、導入の遅れが課題となっています。
キャッシュレス化には、会計業務の効率化や消費者の利便性向上、さらには防犯対策としてのメリットがあります。 一方で、導入コストやサービス間の互換性、災害時のリスクといった課題にも目を向ける必要があります。これらの課題を克服するためには、政府の補助金制度や事業者間での標準化の推進が重要です。
キャッシュレス化は単なる支払い手段のデジタル化にとどまらず、ビジネスの効率化や顧客体験の向上、さらに社会全体のデジタル化を加速させる重要な要素です。企業や公共団体が積極的に取り組むことで、日本のキャッシュレス化は新たなステージへ進むことができるでしょう。